仲介手数料の上限はいくら?賃貸・売買の計算方法と2024年改正を解説
更新日: 2026年7月26日
不動産の仲介手数料には、法律に基づく上限があります。ただし、賃貸と売買では計算方法が異なり、2024年7月には空き家に関する特例も拡充されました。
先に通常取引の結論を整理すると、次のとおりです。
| 取引 | 通常の上限(税込) |
|---|---|
| 居住用賃貸 | 貸主・借主から受け取る合計で賃料1か月分の1.1倍 |
| 居住用賃貸で借主一方から受け取る場合 | 原則として賃料0.55か月分。借主の事前承諾があれば最大1.1か月分 |
| 400万円を超える売買 | 取引価額×3.3%+6万6,000円(依頼者一方あたり) |
仲介手数料は、上限まで必ず支払う費用ではありません。上限の範囲内で、不動産会社と依頼者の合意により決まります。
この記事では、賃貸・売買それぞれの仲介手数料の上限、計算例、2024年7月の改正内容、上限を超えているように見える請求の確認方法を解説します。
不動産の仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産会社が売主と買主、または貸主と借主の間に入り、取引の成立を支援したことに対して受け取る報酬です。
一般的には次のような業務の対価にあたります。
- 物件の紹介や広告
- 物件情報・権利関係などの調査
- 内見や現地確認の手配
- 取引条件の調整
- 重要事項説明や契約手続き
- 引渡しまでの連絡・調整
仲介手数料は原則として、売買契約や賃貸借契約が成立した場合に発生する成功報酬です。相談や内見をしただけで、契約が成立していなければ、通常の仲介手数料を支払う必要はありません。
不動産会社が受け取れる報酬の上限は、宅地建物取引業法第46条に基づく国土交通省告示で定められています。実際の金額は、その上限以内で依頼者と不動産会社が合意して決めます。
大阪府「宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額」でも、限度額を超えて受け取ってはならず、実際の金額は限度額以内で話し合って決めるものと案内されています。
賃貸の仲介手数料の上限
居住用賃貸は貸主・借主の合計で賃料1.1か月分
通常の居住用賃貸では、不動産会社が貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計は、賃料1か月分に消費税を加えた額が上限です。消費税率10%の場合、税込では賃料の1.1か月分になります。
家賃8万円の物件なら、貸主・借主から受け取れる合計額の上限は次のとおりです。
8万円×1.1=8万8,000円
この上限は、仲介に関わる不動産会社が複数あっても増えません。共同で仲介した場合も、関係する宅建業者が受け取る報酬の総額で上限を判断します。
なお、通常は管理費・共益費を除く「賃料」を基準に計算します。見積書の仲介手数料が高く見える場合は、管理費や共益費まで計算基準に含めていないか確認しましょう。
借主一方から受け取れるのは原則0.55か月分
居住用建物の賃貸では、不動産会社が借主一方から受け取れる仲介手数料は、原則として賃料0.5か月分+消費税、つまり税込0.55か月分までです。
ただし、媒介の依頼を受ける時点までに借主から承諾を得ている場合は、借主一方から賃料1か月分+消費税、つまり税込1.1か月分まで受け取れます。
| 家賃 | 原則0.55か月分 | 承諾がある場合の最大1.1か月分 |
| 5万円 | 27,500円 | 55,000円 |
| 7万円 | 38,500円 | 77,000円 |
| 8万円 | 44,000円 | 88,000円 |
| 10万円 | 55,000円 | 110,000円 |
| 15万円 | 82,500円 | 165,000円 |
「借主の仲介手数料は絶対に0.55か月分」「1.1か月分の請求はすべて違法」という理解は正確ではありません。重要なのは、事前の承諾があるか、貸主・借主から受け取る合計が上限内かという点です。
申込書や媒介に関する確認書などに「仲介手数料は賃料1か月分+消費税」と記載され、署名や同意をしている場合もあります。申込み前に金額を確認してください。
事業用物件や駐車場は居住用と扱いが異なる
借主一方からの報酬を原則0.55か月分に制限するルールは、居住用建物に関するものです。店舗・事務所などの事業用物件、土地の貸借、駐車場だけを借りる契約では、居住用と同じ扱いにならないことがあります。
また、権利金が授受される店舗や土地の貸借では、権利金を売買価額とみなして報酬上限を計算できる場合があります。事業用契約では計算が複雑になるため、見積額の根拠を不動産会社に確認しましょう。
売買の仲介手数料の上限と速算式
売買の仲介手数料は、売買価額を区分して計算します。消費税率10%を含めた上限料率は次のとおりです。
| 売買価額の部分 | 上限料率(税込) |
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
売買価額が400万円を超える場合は、次の速算式を使えます。
仲介手数料の上限=売買価額×3.3%+6万6,000円
これは依頼者一方から受け取れる上限です。たとえば、売買価額3,000万円の場合は次のように計算します。
3,000万円×3.3%+6万6,000円=105万6,000円
売主側と買主側の双方を同じ不動産会社が仲介する、いわゆる両手仲介の場合、不動産会社はそれぞれから上限内の報酬を受け取れます。売主または買主一方の負担上限が倍になるわけではありません。
なお、建物価格に消費税が含まれる売買では、報酬計算の基礎となる売買価額から消費税相当額を除いて計算します。個別の取引では、契約書に記載された価格と仲介手数料の算定根拠を確認してください。
2024年7月に変わった仲介手数料の上限
2024年7月1日から、空き家などの流通を促進するため、売買・賃貸の報酬上限に関する特例が拡充されました。通常取引の上限が一律に引き上げられたわけではありません。
【売買】800万円以下の低廉な空家等は最大33万円
売買価額が800万円以下の宅地・建物は「低廉な空家等」の特例対象となり得ます。この名称に「空家等」とありますが、国土交通省は使用状態を問わないとしています。
不動産会社は、媒介に要する費用を勘案し、通常の計算による上限を超える報酬を依頼者一方から受け取れる場合があります。特例による上限は次のとおりです。
30万円+消費税=33万円(税込)
下書きなどで「33万円(税抜)」と説明されることがありますが、これは誤りです。税抜上限は30万円、税込上限は33万円です。
また、800万円以下なら自動的に33万円を請求できるという意味ではありません。媒介契約を締結する際に、特例の上限内で報酬額について説明し、依頼者と合意する必要があります。
【賃貸】長期の空家等では貸主側の上限に特例
現に長期間使用されていない、または将来にわたり使用される見込みがない「長期の空家等」については、貸主から受け取れる報酬に特例があります。
特例を利用する場合、不動産会社が貸主・借主から受け取れる報酬の合計は、税込で賃料2.2か月分までです。ただし、通常の上限を超える部分を負担できるのは貸主だけで、借主側の上限は変わりません。
| 支払う側 | 長期の空家等における上限 |
| 借主 | 通常どおり。原則0.55か月分、事前承諾があっても最大1.1か月分(税込) |
| 貸主 | 媒介に要する費用を勘案し、通常上限を超えて受領できる |
| 貸主・借主の合計 | 最大2.2か月分(税込) |
国土交通省の運用上、「現に長期間使用されていない」とは、少なくとも1年を超えるような期間にわたり居住者等が不在の戸建てや分譲マンションの一室などが例示されています。通常の賃貸集合住宅で入居者を募集している空室は、この特例の対象ではありません。
また、この特例は「広告料」「業務委託料」と名付ければ通常の上限を自由に超えられる制度ではありません。特例を使う場合は、媒介契約時に貸主へ報酬額を説明し、合意を得る必要があります。
詳しい改正内容は、国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」および「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」で確認できます。
仲介手数料が上限を超えていないか確認する方法
1. 取引の種類を確認する
まず、居住用賃貸、事業用賃貸、売買のどれに該当するかを確認します。居住用賃貸のルールを店舗や駐車場にそのまま当てはめることはできません。
2. 計算基準と税込・税抜を確認する
見積書に「1か月」としか記載されていない場合は、税込か税抜かを確認します。通常の居住用賃貸で「賃料1か月分+消費税」であれば、税込1.1か月分です。
賃貸では共益費を含めていないか、売買では建物にかかる消費税相当額を除いているかも確認します。
3. 仲介手数料以外の名称も確認する
「事務手数料」「紹介料」「書類作成費」「広告料」など、仲介手数料とは別の名称が使われていても、実質的に媒介業務の報酬であれば、仲介手数料と合わせて上限の対象と判断される可能性があります。
大阪府も、広告料や紹介料が実質的に媒介報酬と認められ、合計が法定上限を超える場合は、指導監督の対象になると案内しています。
一方、媒介業務とは別に依頼したサービスの実費など、すべての別名目費用が直ちに違法になるわけではありません。何の業務に対する費用か、任意か必須か、誰が設定した費用かを確認することが重要です。
4. 借主が1.1か月分を承諾した時点を確認する
居住用賃貸で借主が税込1.1か月分を請求された場合は、媒介の依頼を受ける時点までに承諾した記録があるか確認します。
確認するときは、次のように質問できます。
仲介手数料の計算根拠と、賃料1か月分を負担することに承諾した書面・時点を確認させてください。
単に1.1か月分と記載されているだけで、直ちに違法と断定するのではなく、申込書や確認書、電子同意の内容を確認しましょう。
上限を超える仲介手数料を請求された場合の対処法
上限を超えている可能性がある場合は、その場で違法と断定する前に、次の順序で確認します。
- 見積書や請求書の内訳を受け取る
- 取引態様と計算基準を確認する
- 税込・税抜、共益費、売買価額の扱いを確認する
- 特例の対象か、別途サービスの依頼があるか確認する
- 不動産会社へ書面で説明と訂正を求める
説明を受けても解決しない場合は、免許行政庁である都道府県の宅建業担当部署や、消費生活センターなどへ相談できます。大阪府では、契約締結前の相談窓口も案内しています。
- 大阪府「不動産業者とのトラブルについて相談したい」
- 消費者ホットライン:188
報酬上限への違反は、宅地建物取引業法に基づく指示や業務停止など、行政上の監督処分の対象となり得ます。ただし、個別事案でどの処分になるかは違反内容や事情によって異なります。「上限超過なら必ず免許取消し」といった説明は正確ではありません。
仲介手数料を上限より安くする方法
仲介手数料の上限は、請求できる最大額です。法律で定められた定額ではないため、無料や割引にすることも可能です。
申込み前に金額を確認する
交渉するなら、物件の申込み前に仲介手数料を確認しましょう。申込み後や契約直前では、すでに条件に同意し、契約準備が進んでいるため、変更に応じてもらいにくくなります。
この物件を契約する場合、仲介手数料はいくらですか。申込み前に、無料または0.55か月分で対応できるか確認したいです。
物件を気に入っている場合は、「この金額になれば申し込む」と具体的に伝えると、不動産会社が判断しやすくなります。ただし、契約条件を確認せずに即決する必要はありません。
最初から無料・割引の不動産会社を利用する
貸主側から報酬を受け取れる物件や、オンライン化によって運営コストを抑えている不動産会社では、借主の仲介手数料を無料または割引にできる場合があります。
ただし、仲介手数料が無料でも、事務手数料、消毒費、サポート費用などの独自費用が加算されていれば、初期費用総額はあまり下がりません。同じ物件・同じ契約開始日で、次の項目を比較してください。
| 確認項目 | 見るポイント |
| 仲介手数料 | 税込総額と計算基準 |
| 事務手数料・書類作成費 | 仲介会社独自の費用か |
| 消毒・抗菌・サポート | 必須か任意か |
| 保証会社利用料 | 初回・月額・更新料 |
| 鍵交換・清掃費 | 金額、支払時期、設定主体 |
| 短期解約違約金 | 対象期間と金額 |
仲介手数料と貸主側条件の交渉を分ける
仲介手数料は仲介会社の報酬ですが、礼金、フリーレント、家賃、契約開始日などは主に貸主・管理会社が決める条件です。
仲介手数料を下げられない場合でも、貸主側が礼金やフリーレントを調整できれば、初期費用を抑えられることがあります。誰に決定権がある項目かを分けて相談しましょう。
分割払いは支払総額も確認する
初期費用や仲介手数料の分割払いに対応する不動産会社もあります。まとまった支出を分散できる一方、分割手数料がかかる場合は総支払額が増えます。
分割払いは費用そのものを値下げする方法ではありません。分割対象、回数、手数料、一括払いとの差額を確認してください。
大阪の賃貸ならSumHomで仲介手数料と総額を確認
SumHom(スムホム)不動産は、大阪に特化し、LINE・オンラインを中心にお部屋探しから契約までサポートしています。
大阪市内の多くの賃貸物件を仲介手数料0円で紹介でき、他社サイトで見つけた物件も紹介可能か確認できます。仲介手数料を無料にする代わりに、SumHom独自の事務手数料や不要なオプションを上乗せすることはありません。
気になる物件のURLや他社の見積書をお送りいただければ、紹介可否、仲介手数料、初期費用の各項目を確認します。
※物件や契約条件などにより、仲介手数料0円の対象外となる場合があります。正式な費用は個別の見積書をご確認ください。
仲介手数料の上限に関するよくある質問
Q. 賃貸の仲介手数料1か月分は違法ですか?
A. 一律に違法ではありません。通常の居住用賃貸では、借主一方から受け取れる額は原則税込0.55か月分ですが、媒介の依頼を受ける時点までに借主が承諾していれば、税込1.1か月分まで受け取れます。
Q. 仲介手数料の上限には消費税が含まれますか?
A. 仲介手数料には消費税がかかります。「賃料1か月分+消費税」は、消費税率10%の場合、税込で賃料1.1か月分です。見積書では税込・税抜のどちらで記載されているか確認しましょう。
Q. 賃貸の仲介手数料に管理費や共益費は含まれますか?
A. 通常は含めず、賃料を基準に計算します。管理費や共益費まで含めて計算されているように見える場合は、不動産会社に計算根拠を確認してください。
Q. 駐車場の仲介手数料にも同じ上限が適用されますか?
A. 駐車場だけを借りる契約は、居住用建物の賃貸と同じ「借主一方は原則0.55か月分」のルールが適用されないことがあります。土地の貸借として計算されるため、契約内容を確認してください。
Q. フリーレント物件でも仲介手数料はかかりますか?
A. かかる場合があります。フリーレントは一定期間の賃料を無料にする条件であり、仲介手数料とは別です。仲介手数料の計算基準や短期解約違約金も確認しましょう。
Q. 800万円以下の売買なら必ず仲介手数料は33万円ですか?
A. いいえ。33万円(税込)は低廉な空家等の特例を使う場合の上限です。定額ではなく、媒介契約時に不動産会社から説明を受け、上限内の報酬額について合意する必要があります。
Q. 仲介手数料を支払うタイミングはいつですか?
A. 一般的には契約成立後、決済・引渡しや賃貸借契約の開始前までに支払います。不動産会社によって支払時期が異なるため、媒介契約や請求書を確認してください。
まとめ
仲介手数料の上限は、賃貸と売買で異なります。
- 通常の居住用賃貸は、貸主・借主から受け取る合計で税込1.1か月分が上限
- 居住用賃貸で借主一方から受け取れる額は原則税込0.55か月分
- 借主の事前承諾があれば、借主一方から税込1.1か月分まで受領可能
- 400万円を超える売買は「売買価額×3.3%+6万6,000円」で上限を計算できる
- 2024年7月から、800万円以下の低廉な空家等の売買は最大33万円(税込)の特例がある
- 長期の空家等の賃貸は貸主側の上限に特例があるが、借主側の上限は変わらない
- 仲介手数料は上限以内で合意して決めるため、上限まで支払う義務はない
見積額に疑問がある場合は、税込・税抜、計算基準、事前承諾、特例の適用、別名目費用の内容を一つずつ確認しましょう。
大阪で賃貸物件を探している方は、仲介手数料だけでなく、独自費用を含めた初期費用総額で比較することが重要です。